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こんな日が来るなら、もう幸せと言い切れるよ


「こんな日が来るなら、もう幸せと言い切れるよ」
そう冠されたツアータイトルをそのまま感想とできるこの感慨。大変よい夜だった。

以前ワンマンに行った、いやフェスも含めて、彼ら自体を観るのが2014年8月ぶりだった。それまでの密度を考えれば考えるほどに何故いまタイミングが合致したのかよくわからないほど、長い待ち合わせを経て、彼らから離れた時間と彼らを求める時間の先がふたたび重なった。

ツアー初日の公演だったのでネタバレは避けるが、初っ端のあの曲に殺されて(平日18時半開演、会社早退してよかった!!!!!!)、その後も最新アルバムの曲やみんなが聴いているヒット曲をこれでも足りない?と言わんばかりに次から次へと投げまくっていたし、「世間はどうせこういう曲が好きなんでしょ?」というあの曲以降はエモが爆発して、美しく燦々と全わたしが散った…。ライブの純粋な感想としては、散々言われていることだけれど映像っぽいバンドだなあとあらためて実感した。楽器チェンジが多くショートフィルムの集合体みたいだったんだけど、演出に筋が通っているからすべて終わってから思い返すと大きな映画を観たような気分。ラストのあの曲、いちばん最後の演出が本当に美しかった。

軽くネタバレになってしまうけれど、前に観ることができたツアーの自分の感想を読み返すと、そのときの展望が見事に叶えられていたセットリストだということに気付いた。「もっと普通の歌を歌えばいいのに」。そしてさらに、今回のツアーで普通の歌だけでも全然クリープハイプらしさは失われず充実感と満足感を与えてもらったということにも気付かされた。これって、彼らがしぶとく生き続けてきたことが間違ってなかったことの何よりの証明なのではないだろうか。つまり、もう、彼らは大丈夫なのだと思う。心配ない、あなたの好きだったバンドは、いまここで大丈夫だよ。


イライラした日はとくに初期のアルバムを再生することが多いし、観るチャンスさえあればいつでも観たいと思っているバンドのひとつではあるのだけど、ワンマンはとにかくチケットが当たらなかったり、日程が合わなかったりして5年弱も間隔が空いてしまった。新譜が出るたび聴いているし、フェスでも日割りをチェックしてほかに見たいバンドがいくつかあれば参戦日にしたいと常に候補バンドには上がっているのに、不思議とここしばらく縁がなかった。

ライブが進むにつれ、24歳で出会って、25歳で好きでいることが恥ずかしくなって、27歳でついに離れたわたしの心の揺れについて思い返していた。共感して愛そうとしたのに客観を手に入れ好きと言いにくくなり、批判側に回ってしまい観ないふりを決め込んだのだったと思う。おいおいあゆに対してと一緒じゃん(浜崎あゆみ関連の記事をどうぞ)。じつは尾崎世界観と浜崎あゆみはわりと通じるところがあると前々から思ってるんだよね。自分をどう見せたいかが違うだけで。でも掘り下げる体力と時間はないのでちょっといまはやめておくけれど。変わってしまったのはわたしのほうだ。

だから自分の中では、数年前に好きのピークがあったバンドという事実は残念ながら揺るがない。今回のライブも観ている間中「こういうとこ、これやりがちだよな〜」などと元彼批評をしているような気分だったし、途中からこちらも盛り上がって、そうそうこれ知ってる!ここが最高なの!元彼とワンナイトしてる気分だぜ!うひょう!などと思っていたんだけど(実際は知らん)、その盛り上がりも長くは続かなかった。だんだんと楽しいのにさみしくなってきてしまった。MCどおりで悔しいけれど、どうでもいい人なら楽しいだけなのにね。だんだんと、一緒にいることがさみしい。楽しさが増すほどに終わりが見えてきてしまうから。

知らない時間に積もっていた、尾崎の、たぶんなにがしか変わりたいとも思ったんだろうけれど、変われないことの人間らしさが、その不器用の積み重ねへの愛おしさを、ライブ中のわたしの内部にむくむくと芽生させえていった。変われなかった数年間を経てもなお変わっていなくて、いつまで経っても周りの目ばかりを気にして、不器用で自分に自信がない。そして情が深いところ。ねえ、それ知ってる。

ほんとうに素敵な夜だったなあ。またいつか、近いうちに会いたい。だけど会いたくない。今度会ったら、また、ちゃんと好きになってしまうかもしれないから。




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(注意)毎度のようにセトリはすっかり忘れてしまうので詳細なレポではありません。
(注意)そんなにファン目線でもないので、ファンの人はこんな目線の人もいるんだ程度に留めていただけると幸い。


相変わらずステージ上が最高だった。
ライブの感想書くのって死ぬほどめんどくさいけど、これは書かずにはいられなかった。


最後に見たのがおそらく2年前「つま先はその先へ」ツアーファイナル@赤坂BLITZ。
そのときはもう、アホな大学生に見つかった直後でえらい状況になっていて。彼らにとって大きな発見であり問題点となったその火種は、クリープハイプのライブの定番曲であり大人気曲「HE IS MINE」のコールアンドレスポンスにあるのかなと。それまでは、恥じらいながらも尾崎さんが聞きたいなら…///みたいな感じで頑張って大きめの声を出してみるような女の子が多かったのに、その頃から\セックスしよう/を叫ぶことに命かけてる人がいっぱい出現して、わたしなんちゃってぶりっこだからいつも言わないしいよいよそのライブのあとは引いちゃったんだけど(のちにTシャツ事件が起こる)、もうそろそろその第一波は落ち着いただろうと思って久しぶりにクリープハイプのライブに行きました。


久しぶりに見ていて、相変わらずステージが素晴らしいことに感動した。それと同時に発見したことは、「狂信的なファンがいるってことは更にもっと大きくなるチャンスがあるってことか」ということでした。ラルクにも林檎ちゃんにも他の名のあるミュージシャンにも、狂信的で変なファンっていっぱいいる。狂信的なファンがいるということは、普通だけではない異質な部分があるということ。だからこそ一般層に受けたときに、爆発的浸透力があるんじゃないのかなっていう感じです。その異質な部分が下ネタだっていうなら話は別だけど、そう感じる人もいれば、いやあのしみったれた悔しさを素直に歌えるがいいんだよって人もいるでしょ?それがわたしには普通ではない異質な部分だと感じるし。もうマジであの茶番さえどうにかなれば本当に全人類に勧めたいライブです。いやいや一般人に浸透したいとか求めてないよ?なんて元も子もないようなこと言われたらこの記事はここで終わるから、まあ結論は急がずにちょっとだけ続けさせておくれ。



以下、演出などネタバレしてます。


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