写真 2

ラルクがライブをやる。ライブ名はラルカジノ。
会場は大阪に新設された埋立地、その名も夢洲。行き方は最寄り駅もしくは近隣地域からのバスや自家用車のみ。会場もだだっ広い埋立地に特設されたステージ。同じく大阪の埋立地である舞洲のサマソニ会場に何度も足を運んだ身としては、事の重大さが骨身にしみた。真夏に行われ最高気温38℃を超えることもあるサマソニは、灼熱の直射日光と地面からの照り返し、また四方の海から照りつける熱射、そしてとどまることを知らない強風という自然の威風をもたらし、修行のような気持ちで楽しみに行くイベントである。正直、L'Arc-en-Cielという1アーティストのためだけに、その体裁以上のものが作り上げられるのかどうか、不穏しか感じられなかった。ラピニュでの運営不備から起こるグッズ販売とライブ終わりのクローク待ちで、夕焼けから朝焼けまでを見られた1日を、不意に思い出してはゾッとした。

しかし時はいつの間にやら流れて、1日めのライブが始まっては終わり、わたしのチケットに印字された2日めを迎えた。修行僧も真っ青のデスロードにこれから向かうのだわと腹をくくって出かけたものの、心配していたバスや運営、会場の混乱などは見事になく、本当に快適なフェス会場のようだった。なによりライブエリアの座席が開放されていたので、来場者全員分の椅子があったことが心強かった。砂埃が酷かったことと日陰は少なかったけど、まあそこはしょうがないよね。なにより晴れてよかった。

写真 3

ライブが始まると、演出に次ぐ演出の嵐。詳細はニュースサイトのライブレポートにお任せするとして、吹き散らされるラル札、風に乗って飛んでくる銀テープ、2ヶ所からの打ち上げ花火、白を7色に染め変えたレインボーブリッジなどなど。なんというか、ラルクは覇者そのものだった。

埋立地ならではの環境、風が強いせいで音がステージの奥に流れてしまうことが多かったことを差し引いても、本当に十分だった。「Driver's High」ではノーミスだったのに、「Pritty girl」の歌部分の間違いにより早々に拗ねるはいどちゃん。「flower」のしなやかに溢れ出る切々感、長年聴きたかった「ROUTE666」に「HEAVEN'S DRIVE」。サブステージで夕焼けを背景に仕立てた「Wind of Gold」、夕陽で夢を描く「MY HEART DRAWS A DREAM」。久しぶりの盛り上げ隊長にして4人ギター&ボーカルをとった「trick」、続いてピエロに担がれるはいどちゃんと、パーカッションを叩き上げる楽器隊の「REVELATION」。
日が暮れてから夜モードになってからの、無防備で儚げな「XXX」や、とんでもなく深遠さを増した「TRUST」。飛翔感と焦燥感が科学反応を起こし融合したイカした新曲「Wings flap」から定番曲を挟み、ラストに選曲された「Pieces」では、最後の《あぁ わたしのかけらよ》という部分が《あぁ わたしのすべてよ》と歌われ、わたしのかけらはあなたに受け継がれ、あなたのなかにおいて、わたしのかけらはわたしのすべてとなる、という情感が込められていて、ただ落涙だった。

ラルカジノでのラルクはおそらく、エンターテインメントとしてステージで闘うことを決めた。そして、ラルクはサービス精神を露わにすることを決めた。その姿勢こそが、箭内道彦と組んだCMを打ちながら、ちょっと生意気な『ark』『ray』期、そしてちょっと高飛車で孤高な『REAL』期への回帰を、そして観ている側にもその時代を彷彿とさせたのではないかと思っている。

続きを読む