2014年によく聴いたアルバム、ベストアルバムをまとめました。良いアルバムと好きなアルバムのふたつが並んだときは、良いアルバムはすでに誰かが選んでるだろうと踏んで好きなアルバムを優先にしています。こういう形で収まりました。相変わらずポップミュージックが大好きです。でも好きなポップがあれば、相容れないポップもあったりして。不思議ですね。
ばれないだろうけど1つだけ最近書いたばかりのレビューを再利用しましたすみませんえへへ。あと、スマホで見ると1つだけやたら大きなジャケットがあるけどPCからだと同じ大きさなの!Amazonにジャケ写がないのが悪いの!泣
それでは始めまーす!
→2014年よく聴いた10曲はこちら
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去年の作品だけどこれだけは。少し溝が開きかかっていた心の隙間に、Youtubeで見かけた「You’re right」がはまった。接着剤の代わりをしてくれた。「あなたはただしい」と念を押すように語りかけてくれる優しい音楽に感謝をしている。
光の三原色は、全ての色が重なると透明になる。FOLKSの音楽はそれと同じようだ。色んな音が鳴っているのに全てが乗ったレイヤーは透明で、まったく重くなく、それどころか浮遊感すら漂う。コーラスワークも多彩で、それぞれが絶妙のバランスを計算され奥行きのある響きを生んでいる。ジャンルはロックであるとも言えるしロックでないとも言える。1曲ごとに見せる表情が多国籍でもあり、無国籍でもある。何度聴いても空気の奥に新しい発見がある。
後から気付いたのだけれど、これがデビュー作だということが信じられない。それほどに完成されているし、次に鳴らされる音の重なりを早く聴いてみたい。
美と暴力。純粋と凶悪。赦しと拒絶。
1曲め「救世なき巣」の不穏だけど静かなノイズに息を潜めていたら、続く「Sturm und Drang」であーーー大変!!狂気と悪意の渦にずるずると引っ張られてゆく。「Blood Music, 1985」も破壊衝動ゴッリゴリで堪らん。「tu m’ (Parallel Ver.)」夢の中のような靄がかった夜の灯火に一旦落ち着き、表題曲「Rapsody in beauty」はサイレンの鳴り響くなか桃源郷へ逃避行のような甘い気だるさ。再び「236745891」から轟音世界へと戻ってゆくのだが、ラスト2曲「Romancé」「僕らはなんだったんだろう」で、救われるような木漏れ日の中で物語は終焉を迎える。
どのアルバムよりも確立され表現されたTHE NOVEMBERSの世界。鉄や鋼のように強硬で、綿毛のように柔らかすぎて触れられなさそうな、圧倒的に美しくて恐ろしいこの世界の正体はなんなのだろう。理解のできない美ほど恐ろしいものはない。それが嫌だけど何故か知りたくって、覆った指の隙間から目を覗かせてしまう。
8位/Cocco『プランC』
先行公開された「パンダにバナナ」を一聴してニヤリとしたとともに、あっちゃんが帰ってきたと確信した。この曲はあまりに直接的な淫らな歌詞なのに、サウンドのダンス×遊び具合が最高で、もはや清々しいまでの気持ちにさせてくれる。
彼女は「焼け野が原」「水鏡」のような情念、それも怨念じみた情念の曲がパブリックイメージになっていると思うが、この『プランC』にはいまのCoccoの「生への肯定」が詰まっている。つまり楽しいのだ。驚くほどに歌声が気持ちよく伸びて、優雅にバレエのステップを踏んでいるCoccoが容易に想像できる。でも、そうかとおもえば裸足でマイク1本、ステージで声を上げている姿も想像できる。自身の振り幅を最大限利用している。つまり、これは彼女の最新の姿がそのままパックされている。やるしかないんだったら徹底的にやるわよ、となんでもぶち込んだ闇鍋のような作品。それがとてもいい味を出していて、まだまだ生きてやる、そう聴こえてニヤつかずにはいられない。「BEAUTIFUL DAYS」は白眉。
夏にリリースされてからずっと聴いたけれど、夏に聴くのがとっても気持ちよかったこのアルバム。うだる暑さの中でこれを聴くと、内田万里の伸びやかな声が脳天に直接響いてきた。いつもは捻くれてどこか寂しさのある彼女らの作品にしては、今作はとっても明るく突き抜けていて、それが逆に子役の笑顔を思い浮かべてしまって、可愛いのにせつなくてかなしい。
キラキラシンセポップな「GINGA GO」「ディスティニー」、わかりたいわかってあげたい君の歌「ユアソング」、へんてこな「テレビジョン」、自然に体が動き口ずさんでしまう「イージーカム・イージーゴー」、ふくろうず節ともいえる切なさとのハーモニーが奏でられる「ベッドタウン」。バラエティ豊かなのに統一されていて、一瞬で終わってしまう。1曲1曲にも『マジックモーメント』が宿っているし、アルバムとして聴いたときにもキラキラと彩られた『マジックモーメント』を体験できる素敵なアルバム。
6位/THE ORAL CIGARETTES『The BKW Show!!』
四つ打ちを多用するバンドが目立つ中、それだけではない独特の器用なリズム、一本調子にならない大展開、超テクニカルな楽器陣、そして歌謡的メロディアスで艶のある歌とドラマティックな歌詞。キラーチューンや高速ロックから、やさしくさびしいミディアムナンバーを挟み、ラストを飾るバラード「透明な雨宿り」には叙情性、文学性すら感じる。まるで周りを蹴落とす時期を虎視眈々と見計らっているような、隠しきれない狂気・野心・闘争本能が、全体を通してびんびん伝わってくる。貪欲さが力となり武器となり、きちんと音楽に昇華されている。「起死回生STORY」やフェスでの「大魔王参上」のイメージは陽気な関西人の兄ちゃんという感じだったのに、アルバムを通したイメージは意外と暗くて内省的で捻くれていて妄想癖があるナイーヴな青年。ねえ、そういうのどストライクに決まってるよ?今年メジャーデビューしたバンド界隈では、頭一つ二つ抜けてオーラルが好きです。かっこいい。
5位/テゴマス『テゴマスの青春』
タイトルは『テゴマスの青春』だが、描かれるのはいまここの青春ではなく、過ぎ去った青春を回想しながら追体験しているような、アラサーならではのどこかすこし他人行儀な青春が味わえる。甘酸っぱさと苦味の両方を経験したあとの青春。
さすがMUSIC FAIRなどフジテレビ音組の常連、ジャニーズ離れした歌の実力が遺憾なく発揮された会心の出来となる作品である。何をおいてもまず曲が素晴らしい。桜並木を笑顔で駆け出したくなるような「ハルメキ」、歌声の端々から哀愁が感じられる「ファンタジア」、育ちの良い色香のような魅力が漏れまくっている「innocence」、青春の思い出すべてを切なく照らし抱擁する名曲「ヒカリ」、アコギ一本に極上のハーモニーがとにかく美しい「きれいごと」、増田貴久のどう考えても天才としか思えない(超褒めてる)歌詞ワールドと手越祐也のやんちゃかわいい作曲センスが同居する「月の友達」などなど。どれがシングルになってもおかしくないほどクオリティの高い数々の曲が、完璧なバランスで共存している。どの曲のアレンジに関しても無駄も隙もなく、上質なポップアルバムとしてTPOを選ばず老若男女が聴ける本当に素敵なアルバム。歌を聴いていて楽しいと素直に思える仕上がり。
4位/YUKI『FLY』
長らく続いていたYUKIのフォークブームは少し影を潜め、スロウでメロウな方向のダンスミュージックに舵を切った今作は、根底に流れるスピリットが『joy』や『Wave』に近いと感じる。菅野よう子作詞作曲編曲の「坂道のメロディ」の髄まで流れる神聖なまでの純粋なポップネス精神はYUKI史上でも最高。さらに「誰でもロンリー」「はみだせラインダンスから」という曲名からは、『commune』で私たちを胸に抱き寄せ泣き止むのを待ってくれていたようなぬくもりと、なーにめそめそしてるのよ!と笑いながらケツを叩いて送り出してくれるような頼もしさを同時に思い出す。それって、もしかして女性の標準装備とされている母性の表れではないだろうか(ここでいう母性とは、対象がいかなる状態であっても相手を受け入れる精神性のこと)(母性イコール母ちゃん、天使イコールロリータという図式はここには存在しない)。
私たちの前に出てくるとき、YUKIはいつも笑顔だ。笑顔とは対象がいて初めて発揮されるものだと思う。そして母性もそういうものだと思う。YUKIが笑顔を向けるとき、わたしはそこに母性を感じずにはいられない。ふわふわとしたぬくもりを纏いながら、求められるものをすべて引き受ける覚悟がみえるからだ。そしてわたしには、そんなYUKIこそが尊いものの象徴に思えるのだ。だからYUKIちゃんは天使。これからもずっと。
3位/cinema staff『Drums, Bass, 2 (to) Guitars』
このバンドの特筆すべき長所はVo.飯田瑞規の伸びやかで美しい歌声と、それを十二分に活かした心地よさ満点のメロディー。そしてボーカルを優しく包み込む静けさと軽やかさと轟音を絶妙なバランスで奏でる楽器隊だと思う。以前からその特長は散見することができたのだが、この作品がとくに素晴らしいのは、シネマの持つ気持ちいいメロディーの豊かさと、静と動のメリハリを極めたところではないか。「tokyo surf」にみる笑顔の浮かぶようなポップセンス、「borka」の全体的な耳心地の良さ、「shiranai hito」の轟音激情エモ、「fiery」の静謐さから展開される凄まじい爆発。それらが見事に調和し溶け合うアルバムの流れがたまらなくて、ラスト「great escape」のあとに必ずリピートボタンを押してしまう名盤。
2位/MONO『The Last Dawn』
アメリカを始めとした世界で人気を獲得している日本人スリーピース・インストゥルメンタルバンド。それ以外、MONOのことは知らない。最初に手に取ったきっかけはレンタルCD屋さんのポストロックコーナーで「MONOの世界観に浸れ!」的なPOPに何故か興味を奪われ『Gone』を借りたから。些細なことだけど、それがすべてで、素晴らしかった。
今作は『Rays of Darkness』『The Last Dawn』の2枚同時リリースのひとつ。闇と光として対になった作品の、光の側面である。CINRA.netで初めて読んだインタビューによると、闇を描こうとして『Rays of Darkness』を制作している際、ご本人まで闇に行ってしまった。そこからタイアップの話を得て徐々に這い上がる様子も制作に生かしたいということで曲に残しこのアルバムにまとめたそう。わたしもなんだか歳をとったのか、長らく暮らしていた闇よりも、光のほうが染み入るようになってきてしまった。たぶん死ぬまで聴くと思う。
1位/BUMP OF CHICKEN『RAY』
リリース時から今年の不動の1位。「ray」についてはこちら(43位)で散々語ったので、べつのことを。平坦な語り口のようなメロディーラインが特徴だったバンプの曲だが、このアルバムは、まるで藤原基央がJ-POPメロディーメイカーとしての素質に目覚めたかのごとく、起伏に富んだメロディーの宝庫になっている。というかアルバム曲の存在が元気すぎて、シンプルな印象が強かったシングル曲たちも、逆にキャラクターが立っているような感覚に陥る。つまり全曲捨て曲なし。全体を通しても、これまでのアルバム作品の中で最も生命が躍動している。「ray」以外にとくに好きなのは「morning glow」。比較的いつものバンプ節に近くて、歌詞を読んでいると「ray」という曲が生まれた時の舞台裏の葛藤なんじゃないかと思わせられる。やっぱりすこしは今や過去に未練もあるし、やっぱりすこしも忘れたくない。だけど、そっちを選んだわけだから万感の思いで手を振る。ああでもやっぱり「firefly」の歌詞と歌い方も強くて好きだ。
かつてはひとりで背負いきれない十字架を、無理やりひとりで背負い、守り抜いて生きていくことを信念にしていた彼の新たな決意。悩みも痛みも忘却も、開き直りとさえ見える明るさも、すべて人生の一部とひっくるめて受け入れた青年の、あるひとつの到達点に力強く建てられた記念碑。
▼2014年購入した洋楽5枚
『The 1975』The 1975
『The Next Day』David Bowie
『Ultraviolence』LANA DEL REY
『Bankrupt!』Phoenix
『The Balcony』Catfish and the Bottleman
来年は洋楽もきちんと追いかけたいぞーという事を含めて残しておきます。
他にも入れたいアルバムはいっぱいあったけれど、泣く泣く10枚に絞りました。とはいえ自分の傾向としては、100%ハッピーな音楽はライブでは楽しめても、100%好きにはなれないみたい。こんなところで根暗が極まれる。でも他人に理解してほしいと思ってない音楽も苦手だったりする。適度に湿っていて適度に人間味のある音楽が好きなのだけど、やっぱりちゃんと聴いてみないとわからない。だからこそ色々聴いてみるし、ストライクな音楽に出会えたときは幸せ。
毎年たくさん得ては削る。そうして少しずつ感覚がブラッシュアップされている、といえるのかどうかはわかりませんが、来年も素敵な音楽にたくさん巡り会えますように。
他にも入れたいアルバムはいっぱいあったけれど、泣く泣く10枚に絞りました。とはいえ自分の傾向としては、100%ハッピーな音楽はライブでは楽しめても、100%好きにはなれないみたい。こんなところで根暗が極まれる。でも他人に理解してほしいと思ってない音楽も苦手だったりする。適度に湿っていて適度に人間味のある音楽が好きなのだけど、やっぱりちゃんと聴いてみないとわからない。だからこそ色々聴いてみるし、ストライクな音楽に出会えたときは幸せ。
毎年たくさん得ては削る。そうして少しずつ感覚がブラッシュアップされている、といえるのかどうかはわかりませんが、来年も素敵な音楽にたくさん巡り会えますように。